唸れ今岡　誠の救世主

阪神が日本一を逃してから一夜明けた今日、
阪神百貨店に行ってきた。

行ってきた、というよりも、学校に行く途中に梅田を経由する、
そして若干早く家を出すぎたから時間をつぶすために立ち寄っただけであるが。

日本シリーズに敗れたとはいえ、今日からセールが始まるということで、
すごい人でにぎわうだろう、
タイガースショップに入るにはかなり待たされるだろうと思っていた。


結果、待ち時間0分。


負けたらこんなものか。


それでもショップ内はかなりごったがえしていた。

とりあえず買うつもりはないけど、ちょっと中を見てみよう。


安易な気持ちがすべてのはじまりだった。


「どうぞ！！こちらご利用ください！！！」


入り口で渡されたのは商品を入れるためのでっかでっかい袋であった。

買う気はないのに、手にはでっかい袋。


数分でだいたい一通り見終わった。

買う気はないから、手にはでっかい袋のみ。


しかし、ここから事態は急変する。


「すいません、何買われたんですか！？」


レジの先にテレビ局のカメラとレポーターがいて、客にインタビューをしていたのだ。

どこの局かはわからないが、とにかくテレビがきてるのだ。


（俺も、取材されたいな。）


今思えば、何でこんなことを考えたのかはまったくわからない。

ただ、阪神ファンとしての思いの丈を少しテレビの電波に乗せたろかと思ってしまったのだろう。

そのときの俺は、明らかに冷静さを欠いていたものと思われる。

別に冷静さを欠くような状況でもなんでもないのだが、
やはり負けたショックは癒えきっていないということか。


とにかく、取材を受けるためには何かを買って精算してレジを出なければならない。


（もう、これでええわ！）


衝動的に手に取ったのは、今岡選手の下敷き。

俺は小学生か。

下敷き、て。


精算をすませた。

結局最初にもらったでっかい袋は使うことなく用を終えた。

ただ、店員は下敷き1枚をやたらでっかい袋にしたためてくれた。


よし、これをもってレジを出れば、取材が待っている。

さあ、こい！


（いないっ！！！）


テレビ局の方たちの姿は見えなかった。

よく見ると、奥の非常階段に座って休憩しているではないか。


（・・・・・・）


・・・・・・。


＜本日の支出＞
・今岡選手の下敷き　315円
・昼ごはん　　　　　500円
・むなしさ　　　　　プライスレス