これか！！

『犬夜叉』


これか！これが犬夜叉か！


俺の親父は、犬夜叉をよく見る。

昔はジャンプとかマガジンなどを頻繁に買ってきてた、
どうやらマンガが好きらしい。


一方、母はマンガが嫌いである。

滅法嫌いである。

「滅法」という単語は日常会話でほとんど出てこないので、
これからちょっと頻繁に使ってやろうと、今思った。


というわけで、親父が犬夜叉なんぞを見始めると
明らかに母の機嫌はよろしくない。

しかもこの時間は、『怪傑えみちゃんねる』とかぶっている。

母はこの番組が、というか上沼恵美子が好きなのである。

もう、母にとって上沼恵美子はカリスマ的存在である。

何のカリスマかわからんけど、とりあえずかりそめのカリスマである。


先日、犬夜叉のスペシャルがあるらしく、その録画を親父に依頼された。

任務を無事に遂行し、親父にビデオテープを渡す。

すると、

「テープに犬夜叉って書いといて」


自分で書けよ、と思いながらテープに『犬夜叉』と書こうとした。


犬夜・・・あれ！？

漢字が出てこない。

『叉』の部分が出てこない。

ものすごい簡単な字であることはイメージできていたが、出てこない。

『又』に似てるということまでわかったが、それでも出てこない。

とりあえず、何があろうと『犬夜又』でごまかすのはやめようと思った。


とはいうものの、『犬夜又』は断然第一候補である。似てるから。

第一候補：『犬夜又』

第二候補：『犬夜しゃ』

これはなんかいややなぁ。
小学校の頃、自分の名前の中で習った漢字だけ漢字で
書いてみたような状態がすごく痛々しい。
却下。


以後も、頭の中でいくつかの候補がよぎる。


第三候補：『いぬやしゃ』

開き直ったか、みな平仮名である。
うーん、却下。


第四候補：『INUYASYA』

これは悲惨。
なんか「KONISHIKI」を思い出した。
KONISHIKI却下。


第五候補：『犬』

略した。却下。滅法却下。


ここまで来ると、もはや正しい漢字を思い出そうという
気がまったくなくなっていることに気づいた。


結局ビデオテープには『犬夜又』と書いてある。