顔面広い

2003年8月14日
俺の親父は、住んでいる市内限定で驚異的に顔が広い。

数時間行動をともにしただけで、いったいどれだけの知り合いに出くわすのか。


車に乗っていた。

赤信号で停車中、いきなり親父はおもむろに車外に降りた。

「おもむろ」という言葉の定義はいまいちよく知らないので、
使い方が正しいかどうか微妙だ。

たぶん、親父はおもむろに車外に降りたのだろう。

おもむろなんだろう。


親父が向かった先は一台後ろの車。

なんか、クラクションを鳴らした鳴らしてないでもめるような状況だ。

後ろの車の運転席の窓が開く。

親父とその人は談笑している。

その光景は、あたかも夏休み明けの始業式の日の朝に

「お前宿題全部やった?」

「読書感想文以外はやった」

と話す小学生たちのようだ。


このたとえはよくわからない。

おもむろによくわからない。


とりあえず、親父はいきなり知り合いに会ったわけだ。


ラーメン屋に行った。

その店内の客にも知り合いがいたらしく、またもや談笑。

かなりのテンション、かなりの笑顔である。

それはあたかも、プールの授業中の男子が、プールサイドで

「うーわ、コンクリート熱っっ!!!」

と騒いでいるかのようなテンションであった。


ラーメン屋のバイトの兄ちゃんとももちろん顔なじみで談笑。

俺は手持ち無沙汰で沈黙、黙って台湾ラーメンとアパッチを食べ続ける。


酒とつまみを買いに行く。

その店内で親父、またもや知り合いと遭遇。

話の流れでいきなりその方の息子さんの家庭教師を依頼される。

俺、困惑。


帰宅途中、赤信号で停車していると、自転車に乗った
おばさんが通り過ぎていく。

「あ、あのおばはん感じ悪いんや」

なんで知っとんねん!


長年サービス業に従事していると、相当顔が広くなるようだ。


他にも、市内出身のプロ野球選手とその両親、
付近に住む有名Jリーガーなども知っているようだ。

そのJリーガーに会わせてもらったときはサッカーファンではない
俺でもテンションがあがったものだ。


最後はコンビニ。

店内にはJリーグの外国人選手がいた。

まさかこの人とも談笑すんのか!?親父外国語話すんか!?

俺の目は期待に満ちていた。

しかし。


「外国語はわかりまへん」


親父の顔の広さは、国境を越えることはできなかった。





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