俺の部屋には、銅メダルが飾ってある。

俺は小学校3年から地元の少年野球チームに所属していた。
規模の小さいチームで、大してうまくもない俺でも4年の段階で背番号6をもらい、レギュラーとして使ってもらっていた。

俺が5年のとき、有能な先輩がそろったため強いチームになっていた。
そして、春の市の大会で準優勝、やたらと大きな銀メダルをもらった。

「これは先輩の力でもらった銀メダル、来年は俺らの力でメダル獲ろう!」

いつしか5年生軍団の間で合言葉ができあがっていた。

しかし・・・俺ら世代はなかなか結果が出せずにいた。
先輩が卒業してはじめての大会、「全京都大会」でもよもやの初戦敗退・・。

練習試合では勝てる、しかし大会で勝てない。
練習でできるプレー、しかし試合でできない。

春の市の大会も1回戦で大敗。

いつしか周囲からは「ザコ軍団」と言われるようになった。

それでも俺らは必死の思いで灼熱の夏休みを練習に費やした。
勝つために・・勝つためだけに。

そしてやってきた最後の大会。

俺らはもはや意地の塊だった。
かっこ悪くていい、泥臭くていい。

準決勝で敗れたものの、3位決定戦を迎えた。

この試合が俺らの公式戦ラストゲーム。

6年全員のおかんが大終結している。

そして経験したことのないほどの声援をもらった。

「絶対勝たなあかん」

試合前の円陣で監督の一言。

俺にとっては4年間の集大成。

厳しい試合を制して3位に入賞した。

閉会式で大会役員の色黒のおっさんに銅メダルをかけてもらった。
(「おっさんかい!!普通はきれいなお姉さんがかけてくれるんちゃうの!?」と思ったがメダルの喜びに比べたら、そんな野暮な気持ちは微々たるものだった)

ふとベンチに目をやると、おかんが泣いている!!

ガチンコ風に言えば「信じられない光景」、
「予想だにしない事態」である。

おかんがこんなに応援してくれてたとは知らんかった。
ある意味俺以上に喜んでくれてたのかもしれん。

この銅メダルは、銀メダル以上の価値がある。


P.S. 俺の最終打席は地味なショート内野安打

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索